LLMを用いた初期集団生成によるEvolving Exact Decompilationの探索性能改善
Abstract
Byte-Equivalent Decompilation(BED)は,あるバイナリに対して,再コンパイルによって同一の命令列を生成するソースコードを復元することを目的とする.Evolving Exact Decompilation(EED)は,遺伝的アルゴリズムを用いてBEDを実現する手法の一つとして提案されているが,その探索性能は初期集団の品質に依存する.本研究では,大規模言語モデル(LLM)をEEDの探索における初期集団の生成器として利用することで,探索性能を改善できるかを検証する.
この目的のため,EED型のシステムを実装し,初期集団の半数をLLMが生成した候補で置き換えるLLM-mixed seedingを導入した.先行研究を基に構成した小規模Cプログラムを対象とした実験では,LLM-mixed seedingにより,探索終了時の正規化命令トークン類似度が,データベースをもとに初期集団を生成するベースラインと比較して17.90パーセントポイント向上した.さらに,初期類似度および実験条件を考慮した分析においても,LLM-mixed seedingでは,初期類似度から100%までに残された差のうち,探索によって縮小された割合が大きかった.これらの結果は,LLM生成候補を含む初期集団が,再コンパイル結果に基づく進化的探索の有効な出発点となり得ることを示唆する.