生体情報保護の可視性がユーザ体験とセキュリティ意識に及ぼす影響
Abstract
生体認証が普及するにつれ,より安全な生体認証システムを構築する重要性が高まってきている.テンプレート保護型生体認証は,伝送路上や保管される生体情報の安全性を保ちつつ認証を可能とする技術であり,生体認証のセキュリティにおける重要な要素技術である.一方,ユーザビリティの観点からは,利用者のユーザビリティのために,これらのセキュリティメカニズムを可視化すべきか,またはブラックボックス化すべきかという問題が存在する.そこで本研究では,生体認証のテンプレート保護の文脈において,生体情報保護の可視性がユーザ体験に与える影響を分析することを目的とする.生体認証における登録および認証の 2 つの段階を対象とし,生体情報保護の可視化状態が異なる 2 つのアプリケーションを設計し,標準化された評価尺度および半構造化インタビューを用いて UX に関する調査を行った.本調査によって,テンプレート保護型生体認証の利用を促進する上での UX 設計の重要性や,生体情報提供への懸念が与える影響などを明らかにした.