SNSユーザの適切なプライバシー開示行動を促すナッジの検討

伊藤 詩歩,成田 惇,菅沼 弥生,西垣 正勝,大木 哲史
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT2021), pp.1–8, Jan 2021.
[ Paper ]

Abstract

SNS を通じて誰もが自身や身の回りの環境に関する情報を自由に発信することが可能である.一方で,旅行中の写真投稿や書き込みによる空き巣被害や,投稿から個人が特定されたことによるストーカー行為被害,プライバシー情報を引き換えとした脅迫被害に遭遇する等,SNS ユーザが自身のプライバシー情報を公開することに起因するトラブルが生じている.そこで,本研究は SNS ユーザがトラブルに遭遇することを未然に防ぐため,ナッジにより SNS ユーザの適切なプライバシー開示行動を促すことを目的とする.これまで提案されたナッジは,ナッジの種類や提示方法による効果の違いが検証されてきた一方で,これらの効果がユーザによって異なる可能性を考慮していなかった.本研究では,特に SNS 利用者のプライバシー保護への関心の程度を考慮し,SNS ユーザのプライバシー開示におけるナッジの有効度と,プライバシー志向の関係について調査した.調査の結果から,ナッジを考えるにあたり,プライバシー懸念の程度を考慮することの重要性を明らかにし,また,SNS 利用の具体的なリスクを提示するナッジによりユーザの SNS 利用事体が脅かされる可能性を示した.

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