人種間の公平性を考慮した顔認証距離学習

佐藤佑哉,伊藤康一,西垣正勝,大木哲史
コンピュータセキュリティシンポジウム2023.
[ Paper ] CSS奨励賞

Abstract

学習データの人種割合が偏った顔画像データセットで学習された顔認証モデルは,人種によって認 証精度が異なってしまい,公平性の観点から問題になることがある.一方,顔認証モデルを学習する際に 広く使用される大規模な顔画像データセットは,インターネット上で自動的に収集しており,人種割合が 偏っていることが指摘されている.顔画像データセットの人種割合を統一しながら大規模な顔画像データ セットを構築することは難しく,アンダーサンプリングによって人種割合を統一した場合は,学習データ 数の減少により認証精度の低下につながる.そこで,本稿では顔画像データセットの人種割合が偏ったま ま,顔認証モデルにおける公平性のバランスを調整可能な新たなモデル学習法を提案する.提案手法は, 損失関数のパラメータを学習段階や公平性を考慮しながら動的に変化させることで,学習を安定させなが ら公平性を向上させる.さらに,高精度な人種の精度低下の許容度を決定する調和パラメータによって, 公平性と認証精度の重要度の比重に応じて最適なバランスで学習を行うことができる.

Updated: