プレゼンテーション攻撃検知とQRコードの導入によるマイクロ爪認証の改良
Abstract
マイクロ生体認証とは人間の微細部位の生体情報を利用した生体認証である．著者らは爪表面の微細部位を用いることで物理的な生体情報において「忘れられる権利を満たす生体認証」の提案を行った．しかし，提案したシステムには安定性，利便性，名寄せ耐性の観点から課題が存在していた．本論文ではそれらの課題を解決するために，反応性充血を用いたプレゼンテーション攻撃検知（生体検知）とQRコードを用いた補助情報添付を導入したマイクロ爪認証の改良を行った．その結果，プレゼンテーション攻撃検知を用いたなりすまし耐性の強化によって，先行方式における「忘れられる権利を満たす生体認証の要件」を確保しつつ低倍率での撮影を可能とし，安定性の改善を実現した．さらに，QRコードを爪表面に印刷し，これを認証時に利用することで，先行方式において達成できなかった手ぶら（1:N認証）でのテンプレート保護型生体認証を実現し，利便性と名寄せ耐性の改善を達成した．