顔認証における公平性評価の一検討

大木 哲史,荒井 ひろみ
コンピュータセキュリティシンポジウム2021(CSS2021), CSS2021-10, pp. 879-886, 2021年10月.
[ Paper ]

Abstract

顔認証技術は,特に欧米において犯罪捜査を目的とした利用が進んでいるが,一方で近年,学習データの偏りによって,有色人種や性別などのセンシティブ情報に依存して顔認証技術の精度が大きく変動することが社会問題となりつつある.本研究では,顔認証における公平性について取り上げる.例えば犯罪者リストとの照合など人生に重大な影響を与える用途において.ある特定のセンシティブ情報をもつグループが犯罪者に誤認識されやすいような状況は不公平であると言える.本研究ではこのような不公平さについて,特に表現学習に基づく汎用的な顔認証システムを取り上げ,その公平性評価方法について検討,評価を行った.MORPH データセットを用いた実験により,デモグラフィックに偏りのある学習セットにより作成された顔特徴抽出器を用いた場合に,認証精度の偏りが生じることや,偏りのあるテストセットを用いることで意図的に高い公平性評価値を算出可能である,属性ごとのしきい値を設定することで認証精度への影響を軽減できることなどが示された.

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