Somewhat準同型暗号に基づく生体テンプレート保護システムの評価
Abstract
準同型暗号を用いて生体情報を秘匿したまま認証を行う生体テンプレート保護システムが多く提案されている.準同型暗号の多くは平文として整数を仮定する一方で,顔認証アルゴリズムの多くは浮動小数点ベクトルを生体情報量として出力する.そのため整数特徴量への変換が必要である.大木らは主成分分析に基づく顔認証アルゴリズムの認証精度に影響を与えない整数化精度を報告している.本稿では,認証精度の高さから近年注目を浴びている機械学習に基づく顔認証アルゴリズムの認証精度に影響を与えない整数化精度を評価し,その整数化精度が 5 ビット程度であることを示す.さらに,認証精度に影響を与えない整数化精度で変換された整数特徴量を入力とした,格子ベース Somewhat 準同型暗号に基づく生体テンプレート保護システムの速度性能を評価し,1 回の認証処理時間が 50ms 以下であることを示す.