低周波摂動を利用した視認性の高いAdversarial CAPTCHAの提案

寺田 崇倫,西垣 正勝,大木 哲史
2020年暗号と情報セキュリティシンポジウム概要集, pp.1–7, Jan 2020.
[ Paper ]

Abstract

CAPTCHAは人間と計算機械とを区別するチューリングテストの一つであるが,機械学習分類器を用いた画像認識によって,容易に解読できるようになった.本稿では,Adversarial Example(以下,A.E.)を用いることによって,機械学習分類器による解読耐性を付与したCAPTCHAを提案する.A.E.は機械学習分類器を誤認識させる攻撃手法であるが,これに対抗した各種防御手法が存在する.防御手法のうち,簡易かつ強力な手法の一つである,フィルタ操作への対策に焦点を当てた既存研究を発展させ,低周波領域のみに摂動を加えるA.E.作成手法を適用することで,摂動除去に対する耐性を保ちつつ,CAPTCHA画像の画質劣化を低減する手法を提案する.提案手法により作成したAdversarial CAPTCHAを用いて,複数の機械学習分類器を対象として,解読耐性を評価した.また,二重刺激方式を用いた品質評価実験により,既存手法との画質比較を行った.2つの評価実験により,CAPTCHAとして人間が解読できる量の摂動で,機械学習分類器を誤認識させられることが結論づけられた.

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