研究室への参加・配属を希望する皆様へ

何の研究をしているところですか?

本研究室では,情報理論,暗号理論,ソフトウェア工学といった分野に加え,コンピュータビジョン等の画像処理・パターン認識技術,ディープラーニング等の機械学習手法についての探求を通じて,情報社会における本人性,監視社会とプライバシー,ポストシンギュラリティといった情報社会におけるセキュリティ技術と人との間で発生する課題へアプローチします.また,これらの課題への取り組みを通じて,情報システムに新たな価値を与えることを目指し,それを具現化するべく活動を行なっています.現在の学生が携わる研究分野は幅広いですが,主に

  • 機械学習セキュリティ
  • ネットワークセキュリティ
  • リアルワールドセキュリティ
  • ユーザブルセキュリティ

の4つの分野に分かれた研究を進めています.セキュリティはプライバシーとも非常に密接に関連しており,各研究分野に関連するプライバシーの研究も行なっています.本研究室における過去の研究成果はPublicationsのページに掲載しています.また,現役学生や卒業した学生の研究テーマはPeopleのページから参照できますのでぜひご覧ください.また,研究室では日々新しい内容の研究にも取り組んでおりますので,現在の研究内容や具体的なプロジェクトについてはオープンラボ等にいらっしゃって直接聞いて頂くことをおすすめします.

研究室の運営について

年間スケジュール

3年生後期には定期的なゼミを通して論文調査やプログラミング能力等研究に必要な基礎的能力を高めてもらうことを目標にしています.4年生以降は,10月のCSS(Computer Security Symposium),1月のSCIS(Symposium on Cryptography and Information Security)といった国内研究会,また国際学会等,自らで目標を設定し,その目標の達成を目指してもらいます.また,研究室内では自分のプロジェクト以外に,複数のプロジェクトに同時に関って頂くことになります.このことで,自らの研究領域以外にも視野を広げ,自分がやりたい研究の方向性を見つけていって欲しいと思っています.なお,負荷は大きくなりますが,希望によっては3年生から本格的な研究に取り組むことも可能ですのでご相談ください.

コアタイムなど

コアタイム等はありません.来たい時間に来て帰りたい時間に帰って大丈夫です.土日祝日は休みですし,夏季・冬季・春季の休業期間中には全体でのゼミは行いません(いずれも来るなとは言いませんので勝手に来てる人もいますし,教員と個別やグループ毎に打ち合わせをしている人もいます).

基礎知識の習得

研究室に配属されると,研究分野に関連する教科書や論文,勉強会などによる基礎知識の習得をまずは目指してもらいます.また,技術的な面に関して,当研究室ではPythonや機械学習を用いたデータ分析を行うことが多いです.研究室に入るまでにこれらを勉強したことがほとんどない,という方も沢山います.新たに配属された学生向けに特に研究室で勉強をする上で必要な技術をコンパクトにまとめたチュートリアルを作成し,勉強会を開催しています.

研究テーマの決定

ゼミや勉強会・論文サーベイといった中で,基礎知識が固まってくると,自然に自分の研究に対する興味の方向性も固まってきます.この頃から研究テーマに関する相談を進めていきます.当研究室では,研究テーマに関しては基本的に皆さんが自由に決定することができます(もちろん,先輩が行っていた研究を引き継ぐこともできます).1人でテーマを考えることは大変な作業ですので,当研究室では,研究分野が共通する数名(通常3名)ほどのグループを組んでもらい,必要に応じて相談しながら研究テーマを決め,その後の研究を進めてもらっています.

研究テーマ決定後

研究テーマの決定後は短期・中期・長期での目標を意識しながら研究を進めていってもらいます.通常,短期は大木との個別ミーティングやグループミーティング,中期は1ヶ月に1度程度ある全体ミーティングでの発表,長期は学会への論文投稿,卒業論文の執筆などになります.上記の通りセキュリティの大きな学会は毎年冬(1月や3月)に開催されます.これらの学会に投稿し,その論文をベースに卒業論文や修士論文を仕上げてもらうことが大きな目標となります.


研究環境

1号館は本年度8月から半年ほど工事のため仮移転を行います.
次年度に新しい建物に戻ってくるので再度研究室のデザインを行う予定です.

学生部屋・機材

学生部屋が2部屋あります.一方はゼミ室を兼用しています(下の写真). B3は基本的にはフリーアドレス,B4以上は全メンバーに共通の環境として以下を用意しています.

  • 電動スタンディングデスク
  • 27インチUSB-Cモニタ
  • ノートPC(現在は希望者するほぼ全員の学生にMacBookが貸与されています)

研究においては多くの学生が機械学習環境を必要とするため,高性能計算機環境としてGPUサーバ6台等を備えています(今後も拡充予定です).このため,比較的潤沢な計算機環境で研究を進めることができます.これ以外にも,PC等の機材,書籍,ソフトウェアについては必要に応じて研究室の予算で購入することができます.

esa.io を用いた情報共有

論文サーベイの結果やゼミの議事録,大学生活のお役立ち情報などを共有しています. Markdown形式で共同編集できるesaというツールを用いており,研究室開設当初からのデータがあり,過去の研究について読むのも面白いです.

Slack

研究室内の連絡はほぼSlackを用います.研究の連絡だけでなく,ちょっとした雑談やtimesチャンネルなど色々な使い方もされています...

研究室メンバ(2022年6月現在)

修士2年生:2名(ABP学生1)
修士1年生:4名
学部4年生:5名(ABP学生1)
学部研究生:1名
詳しくは People のページをご参照ください

よくある質問

どういう人に向いている?

研究室選びには多くの観点が存在すると思います.が,まず,卒業までに必要なハードルという観点から言えば,大木研究室は他の研究室と比べて楽な研究室ではなく,むしろ大変な部類に入るのではと思います.[卒業した学生の研究成果]を見て頂ければわかると思いますが,大木研の学生はこれまでも全ての学生が必ず何らかの形で卒業までに対外発表を行なっています.これは,大木の「卒業までに自らの力で研究のプロセスを最後まで体験し,成果という形で残すことを重視する」という指導ポリシーによるものです.前述の通り研究室にはコアタイム等は存在せず,夏休み等も暦通りですが,研究には相応の時間をかける覚悟がある方でないと,思っていたのと違う,となってしまう可能性があるかもしれません.

ゼミは週何回?

全員が集まるゼミが週1回開催されます.これに加え,主に教員との個別打ち合わせや,学生同士でのゼミにより研究を推進していきます.個別打ち合わせは成果報告ではなく議論の場として考えていますので,研究テーマの設定等,成果が出ずに悩んでいる時などに特に頻繁に開催されます.

特徴的な活動などは行なっている?

研究室としてセキュリティ関連の技術を競うコンテストであるMWSCup(マルウェア対策)やPWSCup(プライバシー保護)に毎年出場しています. 2020年度にはプライバシーに関するコンテストPWSCup技術部門にて優勝しました.近年では学生グループでチームを組み,SECCON等のCTFにも参加しています.

研究室に入るためにやっておく勉強はありますか?

ありません.現時点の知識は重要でなく,好奇心を持って,目標達成に必要な知識や技術をどんどん学んでいく姿勢があれば大丈夫です.

アルバイト / インターンをしたいのですが?

卒業や修了に影響を与えるほどでない限りはOKです.研究室の予定は基本的に皆さんの都合を聞いた上で決定しますので特に心配はいりません.長期のインターンに行く場合は(=卒業・修了に影響を与えるかもしれないと思われる場合には)事前に相談してください.大学院に進学した際にはTAやRA等,大学にいながら研究室内でアルバイトをすることも可能です.また,企業インターンを大木から紹介することもあり,そこから就職に繋がった学生などもいます.

研究室配属の方法は?

情報学部情報科学科の配属方法に準じます.ご検討にあたってはオープンラボに参加して頂くことをお勧めします. 研究室の見学や個別の相談は,3年生に限らず随時受け付けています.希望される方は secretary@sec.inf.shizuoka.ac.jp(大木)までご連絡ください.